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【カーボンクレジットを学ぼう】第3章-3 制度の違いを学ぼう-「コンプライアンス」と「ボランタリー」は“義務”と“自分の意思”

第3章-3:クレジットの“品質”の違い―「同じ1トンでも価値が違う」理由
クレジットは「1トン=1トン」と言いたくなりますが、実際には 同じ1トンでも価値が違う ことがあります。
中高生向けにたとえるなら、これは「同じ1,000キロカロリーの食事でも、豪華なフレンチとファーストフードでは内容や評価が違う」みたいな話です。
ここではクレジットの品質(クオリティ)を見分ける視点を整理します。
1) 追加性:それ、クレジットがなくても起きた?
品質でまず重要なのが 追加性です。 「クレジットがあったからこそ実現できた削減」なのか、それとも「もともとやる予定だった削減」なのか。
もし後者なら、クレジットを発行しても地球全体ではあまり意味が増えません。
だから追加性は“価値のコア”になります。
例えば日本はまだまだ太陽光や風力といった再生可能エネルギーは高い状況が続いていますが、世界では化石燃料よりも安く導入出来るようになっています。こうした地域であれば、特に再生可能エネルギーのクレジットには追加性がないという考え方になります。もちろん、電線が十分通っておらず、電気自体が普及していない途上国もまだまだあるので、そういったクレジットの追加性は問題ないと言えるでしょう。
2) 永続性:その効果は続く?
森林クレジットのように、時間をかけて吸収するタイプは 永続性が課題になります。
森林火災、病害虫、違法伐採などで森が失われると、吸収したCO₂がまた大気に戻る可能性があります。
- 長期の管理計画
- 森林火災などの避けられない事態が発生したときに補填が出来るための余剰分のクレジット(バッファー、予備クレジット)
- 継続的な監視体制
などが品質の評価ポイントになります。
そのため、誰が実際にそのプロジェクトの管理をしているのか、その管理者に能力が備わっているのかは、非常に重要な観点となってきます。
3) 測定・検証(MRV)の強さ:数字の根拠はある?
先の第5章で学ぶMRVがここでも重要です。
- どう測ったか
- どんなデータを使ったか
- 第三者が検証したか
が明確なクレジットほど信頼されます。
CO2は目に見えないため、その根拠を示すことが重要になります。中高生向けに言えば「途中式がちゃんとある答案」ほど信用できる、ということです。
ここ数年にAIを中心としたIT技術や、衛星技術は飛躍的に向上しています。こういった技術を使って、客観的に根拠を示せるかがポイントになります。
4) コベネフィット:環境以外のプラスもある?
クレジットによっては、CO₂削減以外に
- 生物多様性の保全
- 水源や土壌の保護
- 地域の雇用や教育支援
- 女性や子供の支援
などの“追加の良い効果”があることがあります。これを コベネフィット と呼びます。
みなさんもSDGsの17つのゴールをご存じかと思いますが、あのゴールとの関係が多いクレジットほど、コベネフィットが強いことになります。
同じ1トンでも、例えば「地域の森を守って絶滅が危惧されるトラやサイを守る」クレジットは、誰に取ってもわかりやすく、企業としてもカーボンクレジットを通じた資金提供の理由付けがしやすいため、選ばれやすいことがあります。
5) どう選べばいい?
クレジットを選ぶ時の見方はシンプルにすることができます。
- 追加性はある?(本当に新しい削減につながる?)
- 永続性は?(効果は続く?リスク対策は?)
- MRVは強い?(測定・検証の根拠は?)
- コベネフィットは?(自然や社会へのプラスは?)
この4つを見れば、「なんとなく」ではなく「理由を持って」カーボンクレジットを選べますし、企業の取り組みを評価することも可能になります。
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