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【カーボンクレジットを学ぼう】第4章-1 世界のルール -パリ協定は「地球のクラス全員テスト」

第4章-1:世界のルール ― パリ協定は「地球のクラス全員テスト」
カーボンクレジットが世界で広がった背景には、「世界共通の約束」があります。それが2015年に採択された パリ協定 です。パリ協定は、簡単にいうと「地球温暖化を止めるために、世界中の国が同じ方向に進もう」という約束です。
中高生向けにたとえるなら、パリ協定は “地球のクラス全員テスト” みたいなものです。クラス全員が目標を立てて、テストの結果(削減の進捗)を先生やご家族(国際社会)に見せる。得意な人も苦手な人もいるけれど、進捗にあわせて個別に目標を立てます。そしてクラス全員でレベルアップを目指す。全員が参加するから意味があります。
1) まず「目標を出す」=NDC(国の目標)
パリ協定では、各国が NDC(国が決める削減目標) を出します。
NDCは「この国は2030年までにCO₂をこれだけ減らします」という宣言のことです。
ここで大事なのは、パリ協定は「先生が点数を強制する」方式ではなく、国が自分で目標を決める方式だという点です。
ただし「自分で決めていいなら甘くなるのでは?」と思いますよね。そこでパリ協定は、“定期的に見直してもっと高い目標へ更新する”ことも求めています。つまり、目標は毎年難しくなるイメージです。
2) でも現実は「国ごとに条件が違う」
世界には、国ごとに事情があります。
- 工場が多い国は排出が多く、その国で作られた製品を輸入している国がある。(工場を持つ国が排出を肩代わりしている)
- 島国は海面上昇が死活問題
- 途上国は電気や道路の整備が優先になりがち
- 先進国は化石燃料を使って経済が発展した過去がある
- 資金や技術が足りない国もある
このままだと「頑張りたいけど頑張れない国」が出てきます。そこで登場するのが “協力して削減する” という発想です。
3) パリ協定第6条=「国どうしの助け合いルール」
パリ協定の中でカーボンクレジットに関係が深いのが 第6条 です。
第6条は、ざっくり言うと「国どうしが協力して削減した分を、ルールに沿って分け合える仕組み」です。
例えば日本から見ると一般的になっている仕組みが、まだ入っていない途上国に対して、技術と資金を提供することで、日本で削減するよりも、もっと安く・効率的にCO2を削減する仕組みです。
- 6.2条:国どうしが直接クレジットをやり取り(2国間の直接取引)
- 6.4条:国連が管理する“公式マーケット”のような仕組み(第三者が検証しやすい)
ここでイメージしてほしいのは、6条は協力を成立させるための交通ルールだということです。交通ルールがないと事故が起きるように、6条のルールがないと“数字の混乱”が起きます。
4) 最大の注意点:二重カウント(同じ削減を2回言う)
国際取引で一番怖いのが 二重カウント です。
例えば、日本の企業がベトナムで省エネ設備を入れて排出を減らしたとします。
- 日本側:「これは日本の取り組みとしてカウントしたい」
- ベトナム側:「これはベトナムが減らした成果だ」
両方が同じ削減を「うちの成果」と言ったら、地球の帳簿は壊れます。
これを防ぐために、パリ協定では 透明性のルール(透明性枠組み) を整え、どの国がどの削減をカウントするのかを明確にしようとしています。
将来は、衛星やAIを使って森林の変化や工場の排出を“より客観的に”捉えられるようになります。
つまり国際ルールは、気合いや善意だけでなく、データで信頼を作る方向に進んでいくのです。
5) なぜ海外を助けなくてはならないの?
皆さんは、日本だっていろいろなお金が必要なのに、なぜわざわざ海外の支援をしなくてはならないのと思うかも知れません。しかし、例えば日本の省エネ技術が普及することで、発展途上国でのビジネスチャンスが広がり、また、日本が好きになってくれる人が増えることにもつながります。日本のアニメを通じて、日本が好きになる人は多いですよね?また途上国側の暮らしが良くなることで、アメリカやヨーロッパで問題になっている移民の問題も改善されます。移民の皆さんも本当は自分の国に住みたいのに、経済的な問題もあって仕方なく他の国に住んでいる人が多くいます。誰だって本当は自分が生まれた国に住みたいものです。
CO2の1トンは、世界のどこで減らしても1トンなので、気候変動への効果は一緒です。それだったら、気候変動や社会・環境へのインパクトが大きいところで削減することが、より効果的です。
中高生のみなさんが大人になるころ、ニュースで「どの国がどの国の削減をどう支援したか」が当たり前に報道される時代になるかもしれません。パリ協定は、未来の社会の“共通言語”になっていきます。
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