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【カーボンクレジットを学ぼう】第3章-2 制度の違いを学ぼう-「コンプライアンス」と「ボランタリー」は“義務”と“自分の意思”

第3章-2:制度の違いを学ぼう-「コンプライアンス」と「ボランタリー」は“義務”と“自分の意思”

クレジットの違いは「削減/吸収」だけではありません。
もう一つ大きいのが、どんなルールで使うのかという違いです。ここでは

  • コンプライアンス市場(義務の市場)
  • ボランタリー市場(自主的な市場)

の違いを学びます。

中学校にたとえるなら、これは

  • コンプライアンス=学校の校則(守らないと怒られる)
  • ボランタリー=自分で決めた目標(部活の自主練)

みたいな違いです。

1) コンプライアンス(義務):法律・制度でやらないといけない

コンプライアンス市場は、国や地域が作った制度の中で運用されます。企業はルールに従って排出量を報告し、排出量が目標と比べて減らしきれなかった場合にはクレジットを他者から購入して埋め合わせるか、罰金を支払う義務があります。

この市場の特徴は、

  • ルールが厳格
  • 監視が強い
  • 信頼性が高い

ことです。義務だからこそ、誰から見ても明確な仕組みが必要となります。

2) ボランタリー(自主):企業や個人が「やる」と決めて動く

ボランタリー市場は、法律で強制されるのではなく、企業や団体が「自分たちで排出を減らしたい」「カーボンニュートラルを宣言したい」と考えて参加する市場です。

例えば、

  • 商品をカーボンオフセットして環境に配慮した商品にしたい
  • イベントをカーボンニュートラル開催にしたい
  • 企業の環境姿勢を示したい。

といった目的で利用されます。

ボランタリーは自由度が高い分、企業の取り組みの内容や質もさまざまです。だからこそ「見極める力」が重要になります。

3) ボランタリーでよく言われる課題:グリーンウォッシュ

ボランタリー市場でよく出る批判が グリーンウォッシュです。
「環境に優しい」と宣伝しているけれど、実際は自社の削減努力が弱い、あるいは質の低いクレジットで帳尻を合わせている、という疑いです。

「提出物をやったと言っているけど、AIで作った内容で、中身がスカスカ」みたいな状態です。
これを防ぐには、

  • まずは企業活動のどこでCO2を出しているのか、どこのインパクトが大きいのかを把握する。
  • 次に自社で出来るだけ減らす
  • どうしても削減出来ない部分をカーボンオフセットする(埋め合わせる)
  • 最後にどんなクレジットを使ってオフセットしたのか説明する。

ことが大事です。

4) どっちが良い?ではなく「目的に合うか」

コンプライアンスは厳格だけど限定的、一方でボランタリーは広がりやすく柔軟。
どちらも役割があります。重要なのは「目的に合っているか」です。

コンプライアンスは規制対応なので、企業としては対応して当たり前のことになります。例えば、企業が「我が社はちゃんと納税して社会に貢献しています」と言われても、皆さんはピンとこないですよね。
それと同じで規制に対して正しく対応することは企業として当たり前のことをしているに過ぎません。

一方でボランタリーは、あくまで自主的な行動です。では何故、企業はあえてコストをかけて、それをやるのか?それは幾つも理由があります。
例えばブランドイメージの向上は、皆さんに取ってもわかりやすいかもしれません。
企業が積極的に再生可能エネルギーを使ったり、森林保護をしていたり、リサイクルされた材料を使っていれば、応援したくなる人も多いですよね。
そういった商品を著名人が使っていれば、かっこいいと思われるかもしれません。

ただ、企業が環境に配慮するのはブランドイメージだけではありません。
例えば、先ほどの再生可能エネルギーの場合、化石燃料由来の電気の場合、原油やガスの値段が上昇した場合に上昇してしまいますが、太陽光や風力発電といった再エネの場合、一般的には電気料金は一定となります。
なので、再エネの比率を高めることは将来の電気料金の安定化にもつながるのです。
個別の議論はしませんが、農業や森林、リサイクルといった観点も実は同じような事例が多くあります。

また、ボランタリーで始まった仕組みが、コンプライアンスになるケースもあります。
当初、電気自動車に対して特に規制はなく、一部の先進的な人しか買わない車でしたが、アメリカのカリフォルニアでは電気自動車の販売を義務付ける規制が後から出来ました。このルールでは電気自動車を十分売れなかった自動車メーカーが、電気自動車を多く販売している自動車メーカーにお金を払う仕組みになっていたので、電気自動車メーカーはこの権利を売ることで多くの利益を確保することが出来ました。
このように早くから環境への対応を進めることは将来起こる規制に対する準備を進めることにもつながるのです。

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