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【カーボンクレジットを学ぼう】第2章-3 未来のCO₂削減技術

第2章-3:未来のCO₂削減技術
森と技術に加えて、いま注目されているのが「未来型の科学技術」です。その代表が「DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)」と呼ばれる、空気中から直接CO₂を取り出す技術です。
DACって何?
DACは巨大な空気清浄機のような装置です。大きなファンで空気を吸い込み、特殊な薬剤を使ってCO₂だけを取り出します。その後、圧縮して地中深くに閉じ込めたり、コンクリートに混ぜて固定したりします。つまり「空気中のCO₂を直接つかまえて、二度と大気に戻さない」技術です。
さらにこのCO₂を材料にして燃料を作る技術や化学製品を作る取り組みも始まっております。もしこのような技術が一般的になれば、石油やガスを採掘しなくても、燃料やプラスチックの原料を作ることが可能になります。
このDACはまだ始まったばかりの技術ですが、スイスの「Climeworks」やカナダの「Carbon Engineering」といったベンチャー企業などが実証実験を進めていて、一部はすでにクレジットとして販売されています。
コストと課題
ただし、この技術には大きな課題もあります。それは「コストの高さ」です。現在、DACで1トンのCO₂を取り出すのに数万円から数十万もの費用がかかるといわれています。これをカーボンクレジットとして生み出して、企業が購入することで最新技術を支援することは出来ますが、森林クレジットや省エネでの削減に比べると非常に高額です。さらに、大きなファンを回したり薬剤を再生したりするために多くのエネルギーを使います。そのエネルギー源を化石燃料に頼ってしまい、CO₂を多く発生させてしまうと、本末転倒になりかねません。さらにCO₂を地中深くに閉じ込めるには強固な地盤が必要になります。地震が多い日本では地震による地盤への影響でせっかく地中に埋めたCO₂が漏れてしまう可能性もあります。そのため、日本ではDACで集めたCO₂は埋めるよりもコンクリートに混ぜたり、燃料や化学製品の原料にすることの方が現実的かもしれません。
技術は日進月歩で進化します。太陽光発電も昔はとても高価でしたが、今では大幅にコストが下がりました。同じようにDACも、技術革新と大量導入によって価格が下がり、将来は身近な技術になる可能性があります。
海を使う「ブルーカーボン」
未来技術のもうひとつの柱が「ブルーカーボン」と呼ばれる仕組みです。これは海の植物、例えばマングローブ林や海藻が大量にCO₂を吸収することに注目した考え方です。
陸上の森林よりも成長が早く、吸収スピードが速い海の植物は、大気中のCO₂削減に大きな役割を果たせます。日本でも瀬戸内海や三陸の海で藻場を再生する取り組みが進められ、将来的に「海から生まれるカーボンクレジット」として活用される見込みです。
ただブルーカーボンはカーボンクレジットとして扱うには、まだまだ課題が大きい分野です。
1つめは計測が難しいこと。海藻がCO₂を吸収したことを計測するためには、海藻が1年間にどの程度成長したかを確認する必要があります。ただ一般的な森林と違って状況を把握することは困難です。
例えば森林であればいまでは衛星写真で森林の有無は特定できます。しかし海の中は見えないため、現在はスキューバーダイバーが海藻の存在を確認しなくてはなりません。
2つ目は海藻が枯れたり、海藻が沖に流れて深海に沈んだ際に、どの程度CO2が固定されているのか、現在の科学では十分に解明されていません。
3つ目はビジネスとしての話し。カーボンクレジットで得られる収益を見込んで海藻を回復させようとしても、海水温の上昇よる立ち枯れやウニ等海洋生物による食害による消失のリスクがあり、クレジットが思ったように生み出せないリスクが、地上の森林保全に比べても多くあります。
ブルーカーボンが一般的になるには、まだまだ技術的にも科学的に解決しなくてはならない事項が多く存在しているのです。
岩の中の成分とCO2を反応させる「風化促進」
「風化(ふうか)」というのは、岩や石が雨や風などで少しずつ崩れていく自然の現象のことです。でも、ただ崩れるだけじゃなくて、岩の中の成分が空気中のCO₂(二酸化炭素)と反応して、CO₂を地面に閉じ込めることがあるんです。
科学者たちはこの自然の力を使って、「風化促進」という技術を考えました。
まずは、特別な岩(たとえば「かんらん岩」など)を細かく砕きます。それを畑や海にまいて、雨と反応させます。すると岩の成分がCO₂とくっついて、地面や海に閉じ込める。こうして、空気中のCO₂が減っていく!
風化促進は、自然の力を使ってCO₂を減らすから、環境にやさしくて、持続可能(ずっと続けられる)な方法なんです。岩を砕いてまくことで、地球がもっとたくさんCO₂を吸収できるんですが、まだどれだけのCO2が吸収されるのかが科学的に解明できていません。この技術を使ってカーボンクレジットを生み出すには、もう少し時間がかかりそうです。
技術の未来とクレジット
こうした未来技術から生まれるクレジットは、まだ数は少なく、高価です。しかし「どうしても削減できないCO₂」を埋め合わせる最後の手段として、将来の重要な役割を担うと期待されています。国際機関や企業が投資を進めているのもそのためです。
「森林」「省エネ」「再エネ」に続き、「DACやブルーカーボン、風化促進」といった未来技術が加われば、カーボンクレジットの世界はさらに広がります。科学の力は、地球温暖化を止めるための新しい希望なのです。
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