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【カーボンクレジットを学ぼう】第2章-1 森が生み出すカーボンクレジット

第2章-1:森が生み出すカーボンクレジット


カーボンクレジットを生み出す方法のひとつが「森の力」です。森は「地球の肺」と呼ばれることもあります。なぜなら、木は光合成をするときに空気中の二酸化炭素(CO₂)を吸い込み、酸素を出すからです。森が大きく、健康であればあるほど、多くのCO₂を吸収してくれます。

森林とカーボンクレジット

カーボンクレジットでは、森林が吸収したCO₂を科学的に測り、その成果を「証明書」として発行します。例えば、ある地域に10万本の苗木を植え、20年間手入れをして育てると、その森が吸収するCO₂の量を計算できます。吸収した分が「クレジット」になるのです。
この仕組みは国際的にも使われていて、世界では最もカーボンクレジットが発行されている分野になっています。日本の「J-Credit」制度でも、森林を育てて吸収したCO₂は正式にクレジットとして認められています。森を守ることが「数字」と「証明書」になるという点で、とてもユニークです。

発展途上国の森林での事例

発展途上国では、森がどんどん切り倒されてしまうことがあります。人々は生活のために農地を広げたり、木を薪や日々の調理用の燃料として使ったりするからです。日本にいるとなかなか想像出来ないですが、まだ世界では電気やガスが家まで届いておらず、日本では殆ど見られないカマドで調理をせざるを得ない人々がいっぱい暮らしています。でも、森が減ると、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO₂)が空気中に増えてしまいます。木はCO₂を吸ってくれる大切な存在なのに、それがなくなると困りますよね。さらには森を中心とした生態系も壊すことになるので、土地が養分が少なくなって作物が育たなくなったり、水が循環しなくなって、きれいな水が不足するようになったりするので、その地域の経済的な問題も大きくなります。

そこで、「森を守ること」や「新しく木を植えること(植林)」がとても重要になります。森を守ればCO₂を減らせるし、植林すればさらにCO₂を吸収できるからです。森を正しく管理して、燃料のために木を切っても、その分また植えれば、森が減ることもありません。でも、これにはお金がかかります。伐採をやめてもらうために別の仕事を用意したり、森を監視したり、苗木を育てて植えたりする必要があります。発展途上国にはそのお金が足りないことが多いのです。

ここで登場するのがカーボンクレジットです。森を守ったり植林したりして「これだけCO₂を減らしました!」と証明できると、その分の「クレジット」が発行できるようになります。そのクレジットを、CO₂を減らすのが難しい企業や国が買ってくれるんです。こうして発展途上国にはお金が入り、そのお金でさらに森を守ったり、植林を進めたり、森に関連する仕事を増やすことで地域の人々の生活を良くしたりできます。

つまり、森を守ることや植林することは、地球のためだけじゃなく、発展途上国の人々の暮らしを助けることにもつながっているのです。


日本の例

日本は国土の約7割が森林です。その多くは戦後に植えられた、林業を目的とした人工林です。人工林の森は自然にできた森と異なり、人の手を入れないと荒れてしまいます。戦後まもなくは日本の林業も盛んでしたが、海外から輸入された木材に押された結果、日本の林業の採算が合わなくなり、今は手入れが足りず荒れてしまった森が多くなっています。人工林の森は、間伐(木を間引いて森を健康にする作業)を行うことで、健康な木がより太く、強くなり、結果としてCO₂をより多く吸収できる森に育てることができます。こうした活動もJ-Creditでクレジットとして認められ、企業等に売ることで新たな資金の還元の形となります。


森が持つ「二重の価値」

森はCO₂を吸収するだけではありません。洪水を防ぐ、水をきれいにする、生き物の住みかになる、海の養分を生み出す、木材や観光資源になる…といった多くの価値を持っています。つまり、森のクレジットは「環境への貢献」だけでなく「地域の暮らし」も守っているのです。

森を守ることは、未来のための「貯金」をすることに似ています。木がCO₂を吸い込めば吸い込むほど、未来に残せる炭素の「貯金」が増えていきます。その証明がカーボンクレジットなのです。

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